茶会:太宰治 食通茶会 2017年6月16日

料理通信 2017年8月号「自由に愉しむお茶とお菓子」の茶会のススメコーナーで、一品更屋が野点を紹介しています。今回の野点は三鷹の日本酒酒場「ひねもす」さんがお客様とのことで、三鷹にゆかりの深い文豪 太宰治をテーマにした野点を行うことにしました。

取材当日は良い天気に恵まれ野点日和。午前11時には三鷹駅近くの「ひねもす」さんに集合。この取材は、誌面掲載に合わせて日程を決めたののですが、偶然太宰の命日の6月13日に近い日になったという経緯があり、まずは、墓参りということで、太宰治の墓がある禅林寺を目指すことになりました。

太宰治が三鷹の玉川上水で入水自殺したのは1948年の6月13日ですが、遺体が発見されたのが6月19日、奇しくも誕生日に発見されたそうで、毎年6月19日には、太宰の死を惜しむ「桜桃忌」が今でも執り行われています。

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太宰が入水自殺した玉川上水には綺麗な紫陽花が咲いていました。禅林寺へは三鷹駅の南口から徒歩で向かいます。約15分ぐらい歩くと八幡大神社が見え、隣接する禅林寺ももうすぐです。野点を行う場所へ向かう道程は、茶室における露地に当たる部分。汗をかいて歩くことも楽しみの一つです。

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禅林寺の入り口向かいにあるスーパーで桜桃忌に合わせてさくらんぼを購入。禅林寺は森鴎外の墓があることでも知られていますが、太宰が鴎外を尊敬していたこともあり、太宰の墓は鴎外の墓のちょうど向かい側に建てられています。

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命日に近いこともあり、太宰の墓にはすでに多くの花が飾られていました。私たちもさくらんぼをお供えしお参りをします。禅林寺から野点を行う神代植物公園まではバスで向かいます。

バスに揺られること約20分。神代植物公園に訪れたのは今回が初めてですが、かなりの広さ。都立の有料の公園ということもあり、整備も行き届いており、野点目的でなくても十分楽しめそうな公園でした。

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日差しが強くなってきたので、木陰に場所を決め、野点道具を広げます。

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ひねもすさん厳選の日本酒を呑みながら、ひねもすさん特製の太宰弁当(太宰弁当の内容は料理通信に詳しく説明されています)をいただく。美味しい。この日は菓子を2回に分けてお出しするため、お茶は片口で点てています。抹茶はNDT抹茶を使用。

菓子は一つ目がナチュラルチーズ、フロマジュダフィノワとさくらんぼの蜂蜜コンフィチュールのカナッペ。ナチュラルチーズと抹茶のマリアージュは最近一品更屋が取り組んでいる研究の一つ。チーズと抹茶の組み合わせは面白い!と宣言。二つ目の菓子はフランソワ・ジメネーズのグリオット・コンフィチュール入りチョコレート。どちらもさくらんぼが使われていますが、桜桃忌に合わせて準備したものです。チーズには薄茶より若干濃いめの抹茶を合わせます。チョコには更に濃い抹茶を合わせました。

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野点の席には軸として、太宰の「食通」という随筆からの一文を掛けています。和歌が軸として掛けられることはあっても、近代文学を掛け軸にするというのは中々ありません。一品更屋としては、そろそろ近代文学を積極的に茶の湯に取り入れても良い頃合だと考えています。

また、この席には太宰の晩年に出版された随筆集「太宰治随想集」の初版本を持参し、茶席で朗読するという趣向を考えました。特にこの随筆集には軸にしている「食通」も掲載されており、中々読み応えのある内容です。野点には文学がよく合うと実感。また、飾り物として、津軽のこけしも準備し、日本酒とともに太宰に献しました。

ひねもすさんが選んだ日本酒が美味しすぎて、昼から半分酔っ払ってしまいましたが、ここからさらに表参道に移動し、ストリート野点の取材。街全体を茶室に見立てるというコンセプトの、世界初の野点専門ブランド「NDT」を取り上げていただきました。

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お気に入りの街角でストリート野点。良い一日でした!

 

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